砂子 構造を全部省いたトポロジカルな意味では、R3。単なるR3です。3次元空間です。でも数学ってわりと味気ないところがあって、そうやって全部構造として考えるものだから(笑)

半田 認識は入ってくるの?

砂子 認識は入ってくる。でも、他者が見ている知覚正面と自己が見ている知覚正面というものを、別個の独立したものとして考えて、2枚の知覚正面とするならば、そこにまたCの2、2次元複素空間というのがそこに実現しているわけだから、単なる3次元というものからまた一歩、階層は上がってくる。そういう意味では、他者が介在することによって次元というものは大きくなってゆく。

半田 ヌースでは、共通させられた3次元というのが実は8面体だって言っているんです。ここに要するにNCの共通する中央の球体を作っているという考え方なんですよね。

砂子 共通するっていうところがミソですよね。どういう意味で共通するかというところがミソで、自己他者の関係において、内面側なのか外面側なのか、よく分からないけどそういう空間というものがひとつできあがって、そこに8面体をかけているんでしょ。

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半田 重なり合っているといった方がいいのかな。重ねた時に、ここでの三軸をずらして、ここでの8面体が6角形に見えるような、構造にずらした時に、こっちの立方体の頂点側に出るっていう話をしているわけですね。その時には要するに、自己から見た3次元というのは、これを直径とするような球面と考えていいのではないだろうかと。でS(3)という考え方をしているわけですけれども。

砂子 今言ったずらすということがとても大事だと思うのは、空間観察子のところでも言っていたけれども、ずらすということが自己他者の90度の交差に関係しているんですよ。つまりヌースの考え方でいうと他者というのは背中合わせだったり、モノの向こう側に置くんだけれども、次元上昇とか言うそういう幾何学的なモデルというアルゴリズムで考えるならば、自己他者は90度の交差、さっきコウセンさんが言ったずらすというのはね、次元上昇させる時の回転にあたる。

半田 高次元の回転みたいなものだろうと思っているんですよね。

砂子 モノの反対側というのは、意外にも90度の角度に反映している。

半田 よく分かります。ヌースで単純に言うと、等化されたものがまた中和されるという角度は90度になるんですね。分かりました。 じゃあ、最後に「愛を語る物理」ということで最後に書かれてますが、この辺のタイトルをつけた動機、あるいはビジョン、そういったものをちょっと語ってほしいなあと。

砂子 う~、恥ずかしい、コウセンさん相手に(笑)

半田 すいませんねぇ、ココに書いてあるもので(笑)

砂子 参ったなぁ~(笑) 宗教とか感性とかいうことが、方向性を与えるっていうじゃないですか。方向性を与えた後に、ロジックが立ち上がっていくという。で、その場合、コウセンさんの言葉を使うとパトスのファシズム、っていう危険を孕んでいるがゆえに、愛という名のもとにとんでもない嫌らしいことが行われているかもしれない。

半田 愛のファシズム。あると思いますね。宗教の歴史を見てもね。

砂子 それはあらゆる人間関係でも、親子でも何でもそうだけれども。それに対するちょっと警鐘なんて言ったらおこがましいけれども、自分のなかでですね、そういう覚めた目というのを持っていたいと思うんです。そういう意味においては、せっかくこういう材料、ヌースなり、幾何学的なビジョンなりを、だんだん持ちつつあるわけだから、そこからの逆提言ということで、愛に導かれたと。

半田 思考としての愛ですね。

砂子 コウセンさんの本を見て、この辺にちょっと惹かれたなと。

半田 普通は愛情を先に前提として、何か知性をはたらかせていくという方法論が、よく言われていることで、何をやるにもまず愛とか気持ちが大事だということを言われるんだけれども、これは発想の逆転というか、実は愛を生み出せる思考があるんではないかと、そういうことですよね。

僕なんかそれがないことにはなんと言うか愛なんて達成不可能だと。それが出てこないことには、いわゆる昔のギリシャ哲学でいえば、つまりこの知性はさ、ゲージが語る知性と言うのはまた砂子さんが押し出している構造、ヌースが押し出している構造、というのは美を持っているわけじゃないですか。

対称性の美って砂子さんは本にも書いていたけれども、対称性の中に美を持っていて、美がいかにして倫理と結びつくかっていうものが。美と倫理というもの、美と善というものをいかにして結合させるのは哲学の最大のテーマだから、ここですよ、問題はね。真・善・美なわけだから、この三位一体のなかでは美と善は結びつかなくてはいけないんですよ。そういった意味では、まだ真なるものは生まれていない。やたら善を前面に押し出すところにも真はなくてさ、美がなければいけないと。

砂子 心の中でモヤモヤしていたものず、スパーッと言葉になったような気がします。

半田 ゲージは美しいじゃないですか。ということで、長い時間どうもありがとうございました。

砂子 いや、今日はスッキリしました(笑)

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